重なったと思ったら、今度は唇をペロッと舌で舐められた。
唇を舐められたことが無いあたしは突き飛ばしたかったけど、体が思うように動かないため、ただ固まっていた。
「……レモンの味がする」
いきなり人の唇を舐めてきたやつは、呑気にそんな感想を口にした。
いや……うん。
そりゃそうでしょ。
さっきまでレモン味のかき氷食べてたんだし。
「てか、な、なな、な舐めたっ?」
「あぁ、舐めたけど?」
「舐めたけど?じゃないよ!な、何で、舐め……たの……」
なんとなく“舐める”という言葉を連発するのが恥ずかしくなってきて、語尾が小さくなっていく。
だって普通舐めないしね?
部屋でイチャイチャしてても舐めることなんてないはずなのに、こんな人がたくさんいるところで舐めるなんてあり得ないっ。
しかも、さっきまで蓮は近かったのに離れていっちゃうし、何やら不機嫌みたいだし………。
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