唇が触れた時、あたしが握っていたタバコが、
力が弱まったせいか、地面へと落ちた。
それでなんとか自分の身に何が起こってるのか判断できた。
唇はゆっくりと触れたのに離れるのは早くて………。
離れるのを寂しく感じたのは、あたしの心の中に閉まっておくことにした。
「ん?どうした?」
わざと何事もなかったかのように、平然とした顔でタバコを取り返した蓮。
どうした?じゃないし!
今キスしたじゃん!
確実にキスしたじゃん!
あたしがキスしたら大人しくなると思ってキスしたんだろうけどさぁ。
まぁ結局は大人しくなったんだけど!?
「べ、別に何でもないっ」
だからってキスだけで動揺したなんて思われたくないから、あたしは敢えて強がった。
でもそんな強がりも蓮にはバレバレで。
「澪って、キスしたら大人しくなんだな」
と、知ってもらってても困る自分の情報を蓮に知られてしまった。
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