昔のことを無かったことには出来ないけど、
それをずっとあたしが引きずってたら、前には進めないって分かってるから。
じゃあどうしたらいいのか、って考えた時。
あたしが昔の蓮ごと受け止めてあげればいいんじゃないかって。
それで、今の蓮を信じればいいんじゃないかって。
そう、思った。
だから、あたしは………言葉で蓮に安心させてほしかった。
蓮がちゃんと答えてくれることは分かってたから。
「自分でもハッキリは分かんねぇけど…」
蓮の言葉を一言も逃さず聞きたい。
「昔はただ、好きでもねぇ女を落とそうとしてた」
「……うん」
「彼女がいた時もあったけど、めんどくせぇから自分から告ったことなかったし、」
「……」
「だからフラれても、未練もねぇから引き止めることもなかった」
「……」
「告られれば付き合うし、フラれれば別れる。ずっとそんな中途半端なことばっかやってた」
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