「あいつらうぜぇ」
蓮は捨て台詞が気に入らなかったのか、あたしの隣に座るなりそう呟いた。
「じゃあ蓮に捨てられたら、あの人たちのとこ行こー」
「は?」
あたしは冗談で言ったつもりだった。
なのに、蓮のイライラスイッチを押しちゃったようで――…。
「本気で言ってんの?」
いつもより蓮の声が…………低い。
「い、いや…」
前言撤回しようとするあたしに、蓮は言葉を被せた。
「確かに前は興味なくなった女はすぐ捨ててたけど、」
………いや自爆かい。
フォローしないのかい。
てか、捨ててたのかよ!
「最低」
「あぁ。俺だって思う。でも、今はマジで違ぇから」
「……」
「何つったら良いのか分かんねぇけど……澪は今までの女と違ぇんだよ」
「……どう、違うの」
「え?」
確かに、昔の蓮がしてたことは男としても人間としても最低なこと。
だけど昔のことをウジウジ言ってらんない。
あたしが付き合ってるのは、紛れもない“今”の蓮なんだから。
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