エンジンを噴かし始めたと思ったら、朔たちは先に走り出した。
「俺らも先行くな」
啓介と晶乃も先に行った。
「これ、蓮のバイク?」
残されたあたしと蓮。
バイクが1台残ったから、あたしはそれを指差して言う。
「俺の兄貴の」
「お兄ちゃんの?」
「ん。借りてきた」
お兄ちゃんいたんだ。
蓮の知らない部分を知れて………柄に合わないけど、なんだか嬉しくなった。
すると、突然あたしの頭にヘルメットが被らされた。
へ?と間抜けな顔で上を見ると………そこには優しく笑う蓮がいて。
「似合ってる」
そう言って、あたしの脇に手を入れると軽々とあたしを持ち上げ――…バイクに乗せた。
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