けど、実際楽しんでる余裕なんかなかった。
蓮と大雅の間には、なぜかピリピリした空気が流れていて、それはこっちにも伝わってくるほどだった。
え?なに?
これこそどういうことって感じなんですけど?
何で2人ともこんなにピリピリしてんの?
すると、大雅が口を開いた。
「お前の本気って何だよ。数えきれねぇくらいの女と遊んできたんだから、どうせ1人の女になんか絞れねぇだろ?」
いつもの大雅とは別人。
「急にどうしたの?」
ケンカで怖い口振りになるのはよくあるけど、何で今こんな怖くなってんの?
そんな大雅の変貌ぶりに驚きを隠せないあたしに対して……
「うるせぇよ。お前は黙っとけ」
突き放したような態度の大雅。
カッチーン。
もちろんあたしは、ムカつく態度とられて『あ、ごめーん。あたし黙ってるね』なんて言えるような心が広い人間じゃないから、
完全に怒りの線がブチッと切れた。
だから悪態ばっかついてる大雅に、1発パンチでも喰らわせてやろうと思って拳に力を入れた瞬間――…
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