でも、本当は蓮がそばにいてくれて嬉しくないわけじゃない。
むしろ……嬉しい。
倒れた時は意識がなかったから何も思わなかったけど、今思えば、怖くてたまらない。
みんなの記憶がある時に自分だけの記憶がないなんて、そんな恐怖あるだろうか。
話を聞いて初めて自分の身に起きた事の重大さに気がついた。
だから………正直こうして蓮がそばにいてくれるだけで、すごく安心する。
ま、まぁ?
蓮じゃなくったって、きっと安心したんだろうけどねっ。
って。
何で蓮のことになるとこうやって考えちゃうんだろ。
素直に嬉しいなら嬉しいでいいのに………どうして否定せずにはいられないんだろ。
もしかして、あたし………。
……蓮じゃなくても平気、って否定することで、自分の気持ちを抑えてるのかもしれない。
今まで誰かのことを、わざわざ自分に“好きじゃない”なんて、言い聞かせたりしなかった。
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