それなのに、蓮はどんどん奥へと行ってしまい、あたしは1人で待ってるわけにもいかないから、
しょうがなくついていっていたら………今の溺れかける状態になってしまったってわけ。
蓮はまだ奥に進めるとか言うけど、それは蓮の背が高くてまだ水面との差に余裕があるからで。
156センチしかないあたしにとっては、普通に浮き輪もなしに立ってるだけじゃ、結構ギリギリ。
もう肩までは浸っちゃってて、しかもつま先立ちで立ってるから、かなり辛い状態。
「ねぇ、マジで無理なんだけど!あたし泳げないんだって!」
おまけに波が来るから、波が来るタイミングでジャンプしないと溺れそうになる。
だけど、そんなあたしの助けの声も………。
「ビビり」
蓮には意味がないようだ。
かと思ったら、蓮はいきなりあたしの腕を引っ張ってきた。
「え、なにっ?!」
そのあとすぐ、しゃがんだかと思うと………今度はあたしの両膝の裏に腕を回して………あたしを持ち上げた。
それはいわゆる。
「なにって、お姫様抱っこだけど」
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