「っ……逃げちゃ悪いっ!?」
“冗談だよな……?”
そう言った時の春の表情は、笑顔なんて全く無くて困った顔をしていた。
そんな顔をさせたのは紛れもなく、あたしなんだよ?
「逃げるのが悪いなんて言わないっ!でもさくらは!春から逃げたんじゃなくて、自分から逃げたんだよ!!」
……自分から?
「ねぇ、さくら。強がちゃうのは分かるよ。ずっと友達だったのにその関係が壊れるんじゃないか…って不安になる気持ちも……」
さっきまでの声と代わり、穏やかで優しい声
「でも友達の関係を一度壊すくらいの勢いでいかないと、春に想いなんて一生届かないんじゃないかな?」
「っ……」
「春は友達で、さくらの大好きな人なんでしょ?」
そっと頬に触れてくる瑞希の手が優しくて、また涙が溢れた
「大丈夫だよ。あたしの大親友のさくらは、ちゃんと自分に勝てる人だってあたしが一番分かってるから」
そうなんだ……
あたしは逃げたんだ……
友達じゃなく、恋人になりたいなんて思いながらも、春との友情に掴まってたんだ……
でも違う……
あたしがなりたいのは……
あたしがずっと言いたいのは……
ただ、春が好きってことだけ……


