「いや、メール来てたの気づいてなくてさ。」


「メール?おばさんから?」


「うぅん。和ちゃんから」


「……は?」



ピクッと反応した名前


和ちゃん、だと……



「あっ、春。もう今日はここまででいいよ。」


「は?家まで送るよ。まだ結構距離あるし危ないだろ。」



何度も言うけど、さくらは警戒心が無さすぎる。


「うぅん。大丈夫。これから和ちゃんのマンションに行くから」


「………は?」


さっきからこのセリフしか言っていないような……


でもこの言葉しか出てこない。


「和ちゃん家はここから近いし、だから大丈夫だよ。」


何が……大丈夫なんだよ。


男の家に行くんだぞ?


女が1人で男の部屋に……


密室に行くんだぞ……?



大丈夫なわけねぇだろ……


「じゃあ、また明日ね」


――パシッ



「えっ?」


離れて行こうとしたさくらの腕を握った



「春?」


不思議そうに俺を見る