「ありがとう。大和」 でも、今、あたしが愛しくて……苦しくなるくらい好きなのは…… 「あたし、行くね」 ――春だけ、なんだ…… あたしはバックを持ち、走り出した。 ただ、春だけを思って…… 春に会いたい一心で、足を前に進めた。 だから気づかなかったんだ…… この時、楢橋くんが…… 大和が…… 『バカだな……俺』 と悲しそうに小さく呟いていたことを……