「なぁ、中原っていつの間に、コイツらと仲良くなったの?」
「!…えっと、昨日の放課後に…図書室で……」




いきなり隣に立っていた神崎君に話しかけられて、びっくりした。


神崎君はふーん、とつぶやく。




「なぁ、沙紀」

「何?律ちゃん…」

「今日、屋上に行くか」

「何しに…?」

「昼飯食いに」

「…………わかった」







『もちろん、美羽もいるぜ』と付け加えた律ちゃんは、ニカッと笑った。


白い歯が除く律ちゃんの笑顔が私は好きみたい。



私もあいづちを打つように、微笑んだ。








「ってことだから、真弘。晴紀(はるき)連れて屋上に来い」
「…別に俺はいいけど、晴紀がなんて言うか……」

「強制的に連れて来い」







晴紀って言う男の子が神崎君と一緒に屋上に来るみたいだ。


その人も律ちゃんの知り合いみたい…。



律ちゃん、顔が広いなぁ…。




――…ん?

昨日のお昼…。





「………あの」

「どうしたの?」
「どうした?」
「どうしたんだ?中原」

「私、午前中に帰るんです…」





私は肝心なことを忘れていた。

昨日の夜、電話が来たのだ。



『明日の午前中には、沙紀の家に着いてるからなぁ~』と、呑気な声で戒斗が言ってきたのだ。







「ホント、ごめん。…大阪から知り合いが来るの…」






私はペこりと頭を下げる。


すると、耳に聞こえた美羽ちゃんの声。






「まぁ、仕方ないよ。沙紀とはいつだって昼ご飯、食べれるしね…」