1時間目。
国語教師は律ちゃんと美羽ちゃんの席の移動に目を瞬かせていた。
けど、そんなのお構いなしで、2人とも私を挟んで話してる。
「っつーか、さっき気づいたんだけどさぁ…」
「なんで真弘が沙紀の隣?」
「俺に聞かれても困るんですけどー…」
どうやら3人は仲がいいみたい。
何だかんだ言って、神崎君は嫌な顔1つしてない。
「真弘。席、変えな」
「…やっと男になることを決めたのか、律」
「望むところだ。まぁ、てめぇは女になるみたいだしな」
席の列、つまり女子列と男子列のことを言い合ってた。
私の後ろでは深いため息が聞こえるし…。
(止めたほうがいいのかな?)
私がそう思った時、バンと教卓を叩く音がした。
「そこの4人、廊下に立つ!」
4人って私も………!?
私、何もしゃべってないんですけど……。
「あーぁ。律のせいで、俺まで立たされるのか…」
「はぁ?てめぇがいらねーこと言ったからだろうが!」
「ってか、早く廊下に出なよ」
言い合いをする2人を残して、私の腕を掴み廊下に向かう美羽ちゃん。
美羽ちゃんがそう言っても気づいてない2人を廊下に出したのは、2度目の教師の怒りだった。
「……初めて廊下に立った」
「沙紀、真面目だねぇ。アタシらなんて何回もあるよ」
「なんか……廊下が静かだから新鮮」
人のいない廊下には、各クラスの授業の声と私たちの声しか聞こえなかった。

