――――え…………?
律ちゃんと美羽ちゃんがいつの間にか、私の前に立っていて、その後ろで私は少し口が開いていた。
目も見開いていたし、声も出なかった。
私は驚いていたんだ。
私を¨雪女¨としてじゃなく、中原沙紀として見てくれていた律ちゃんと美羽ちゃんに。
「ってかコイツ、¨雪女¨じゃないし、性格もいいよ」
「それに可愛いし。――沙紀を¨雪女¨っていうなら、アタシらのことは¨口裂け女¨って呼んでも構わないよ」
「なんで¨口裂け女¨…」
「ちょっとリアルじゃない」
私は2人の背中を見て、会話を聞いて、よくわからない感情に包まれた。
ひなたぼっこみたいに暖かくて、お母さんみたいに安心する。
「ちっ!どうなっても知らないからね!!」
川島さんは2人の間を裂いて、私の横を通りどこかへ行ってしまった。
その後、律ちゃんと美羽ちゃんが同時に振り返った。
2人の顔はどちらとも満足そうに笑っていた。
「なんで……。2人になんかあったら私……」
「何言ってんの、沙紀」
「2人になんかあったらって……これからは3人で乗り越えてくからいいだろ?」
律ちゃんがニコッと白い歯を見せて笑った。
美羽ちゃんも目を細めてニッコリと笑う。
初めて、こんな気持ちになって私は、幸せを感じた。
私の存在、中原沙紀を認めてくれる人がいて、¨雪女¨を否定してくれる人た。
氷のような私の心は、温かい気持ちによって溶けた。
そして
「りっ…ちゃん、美羽ちゃ…!ありがと…!」
笑顔でいなくちゃいけないのに、ボロボロと泣いてしまったんだ。

