「さぁぁきぃぃ!!」
学校について、律ちゃんと教室に入った途端、美羽ちゃんが抱き着いてきた。
私はビックリして固まってしまった。
「あー、なんでアタシは沙紀の家の近くじゃないんだろ…」
「えっと…美羽ちゃん。…苦しい」
「あ、ごめんね…!」
思いっ切り抱きしめられていたせいでうまく息が出来なかった。
美羽ちゃんが私から体を離してくれて、ふぅと息をつく。
「ちょっと美羽!律!」
だけど突然の声に息を飲んでしまった私。
視線を上げれば、私たちの前に茶髪の子を何人か連れた金髪の女の子が腕を組んで立っていた。
「おはよ。なんか用?」
「舞、どうかした?」
「どうかした?じゃないわよ。どうしてそんな奴とつるんでるのよ?」
舞って呼ばれた女の子、確か名前は川島 舞。
クラスで最も評判の悪い不良。
その子が私を勢いよく指差してた。
「え?誰のことだよ」
だけと、律ちゃんは川島さんに平然としてそう言った。
美羽ちゃんも顔色1つ変えず、というより川島さんに見向きもせず、私の手を触っていた。
「わからない?なんで、その¨雪女¨とつるんでるって聞いてるのよ!」
川島さんは大きな声でそう言った。
それにはクラスの皆が振り向いて、注目し始めた。
(………あぁ、また¨雪女¨に戻るのか…)
私は諦めるようにそう思った。
だって、否定出来ない。
私は¨雪女¨としてこのクラスに存在して、私のことを皆は¨雪女¨としか覚えてな―――
「どこに雪女がいるんだ…?」
「…アタシらがつるんでるのは、中原沙紀だよ。雪女なんて、どこに見えるの?」

