その男の人の手のひらは大きく、居心地が良いのです。 「あの…座っても良いですか?」 「え、え~…どうぞ…」 「それでは失礼します」 私は手のひらに正座しました。 「すいません…これからどうすればいいのですか…?」 「…。適当に」 「じゃあ…部屋に帰ります。 ちょうど帰り道だったんで」 「分かりました。落とさないで下さいね。」 男の人はソーッと静かに、 手のひらの傾きに注意して、 慎重に歩いてくれました。 その優しさに私は この男の人が気に入りました。