携帯を返された後に、用も済んだから家に帰ると言って店を出た。私が明らかな仏頂面なのにも関わらず、彼は余裕の笑みで手を振る。

空気を読む気はないらしい。



「………では、ゆい先輩。また明日」
「次、ゆいって言ったら刺す」
「ゆい先輩には特別に俺の事は彼方って呼ばせてあげますよ」
「絶 対 い や」



丁重にお断りしてから少し暗くなりかけている外へと出て、家へと急いだ。