彼がいま見ている夢の中に
あたしはいなくて、


その代わりに彼女さんがいる。



きっと

さっきのキスも
彼の中では彼女さんとしてたのかな...



「バイバイ…っ」


こぼれそうな涙を
汗の少し染みる手でぬぐって


蝉の声が響く教室を後にした。




バタンッ―――――――――――



「俺にキスなんか……なんですんだよ...。」


蝉の声が一瞬止まって
教室がいっきに静まり返る。




「寝ぼけてなんか...ねーよバカ」