我に返ったあたしは 頭を激しく振った。 欲望の怖さを今知った。 なんてこと 考えてんだろあたし...。 「バカだなぁ......」 そしてあたしは もう一度彼を見据えた。 「…全部...桐野くんが悪い......」 さっきと同じように 彼に顔をそっと近づける。 鎖骨まで伸びた髪が 彼に当たらないように、そっと...。 トクン...。 ごめんね彼女さん。 少し下を向いている彼。 あたしは上から すくいあげるかのように こっそり 唇に唇を合わせた。