出会いは密室で[完]




かえって迷惑かけちゃった…。


ほんとバカだなあたしって。



「なにポケッと突っ立ってんだよ」

「あ…」

「けがは?」

「ない...」


倒れた時に制服に付いた
砂ぼこりを払いながら彼は立ちあがった。



「んじゃ、行くぞ...」

「あ、あのっ…」


気付けばあたしは
先を行く彼をひきとめていた。



「本当にごめんね...。でも...ありがと」


無意識に口角が上がって、

すごく温かい気持ちで
あたしは笑っていたような気がする。



「うん…」


彼は振り向きもせず、
素っ気ない返事を返して


教室に向かった。