やばい...
また泣きそう......。



下唇を噛みしめて
まばたきを絶対しないように……



そうでもしないと


さっきぬぐった涙の粒が
またこぼれてしまうから。





「帰るぞ」


地べたに座り込んで
今にも泣きそうなあたしの頭を



砂埃を払ったばかりの手で
ポンポンと優しく撫でながら


鞄を片手に立ちあがった南。





「……。」