出会いは密室で[完]





「…もしもし?」

『ちょっと大丈夫?いまどこにいるの?』

「大丈夫...。茉那、先帰ってていいよ」

『え、でも...』

「ごめん、あたしちょっと時間かかりそう。」



耳元で
茉那の「うーん」と

少し悩んでいる声が聞こえた。




『そっかぁ、じゃあ落ち着いたら色々聞かせて?』

「うん。わかった」

『バイバーイ』




ツーッツーッと

通話の切れる合図の後に響く
切ない機械音。




その音を

耳元に当てながら




機械音と同じように
切なくてしょうがない涙を流した。