むっすー……。
あの桐野くんの一言が原因で、
あたしはあれから約1時間
ずーっと彼に背中を向けている。
少しでも笑顔に見惚れた自分が信じられない。
「茉那のせいだよもー…」
いや...
もっと辿ればお母さんのせい...?
違う、
おばさんのせいか。
もうすぐ10時だし...。
ほんとにこのまま、
朝まで一緒なのかなぁ…。
うっ…。
肌が急にブルッと震えた。
「寒ー...。」
もう夏なのに
夜はまだこんなに冷えている。
夏服だから余計寒い...。
もう
なにもかも最悪。
両腕で自分を抱え込みながら
あたしは心底そう思った。

