冴美ちゃんっ...。 彼女の姿を見て、 すぐにあたしは 彼の手を振り払った。 「ごめんっ...もう帰らなきゃ......」 「待てよっ!」 「優科ちゃん待って!」 桐野くんと冴美ちゃんの声が 同時に響いた。 仕方なくあたしは 逃げ帰る足を止めて振り向いた。 「優科ちゃん。あたし、分かってたよ」 「へ…?」 「同じ...なんだよね?」 ドキンッ――――――― あたしがいつも想っている人。 一緒に居ると 心臓が止まらない人。 大好きな人。 それは、 冴美ちゃんと『同じ』人。