『悠基……』 声を出した途端、強まった腕の力。 だけど、瞳は逸らさなかった。 『私……』 と、そのとき。 ―――ブオォォォン 高まる緊張の中、場違いな音が響いた。 だけど、徐々に近づいてくる音も気に止めずに見つめ合う。 「「「ふーりゅーっさぁん!!」」」 ―――この声を、聞くまでは。