違うのに。 むしろ、もっと強く抱きしめてほしいくらいなのに。 ちゃんと言葉にしないと伝わらないんだ。 私は、自信を失ったかのように力の弱まった悠基の手に、自分のそれを重ねた。 でもやっぱり言葉が出てこなくて、私は悠基の手をぎゅっと握りしめることしかできなかった。 どうか届いて、私の気持ち。 すると悠基は、真一文字に結んでいた口もとをふっと緩めて、回す腕に力を込めてくれた。 愛しさが胸いっぱいに溢れて、荒れていた心が凪いでゆく。