俺は立ち上がると、実妃の座るソファへと行き、腰を下ろした。


「さとちゃんとだいちゃんバカだねー」

「うるせーよっ」


ケラケラと笑う実妃のおでこに一発でこピンをくらわした。


「いたぁいっ」


それでもケラケラ笑う実妃。

実妃と碧依は笑いのツボが似てる。
ずっと姉妹のように育ってきたからだと思う。


「じゃああたしは帰るね」


立ち上がる碧依を俺は引き止めた。


「あっ、碧依っ。今日明子と七海に会ったんだけど、今度遊ぼうってさ」

「んー、分かった。ありがと」

「お前勉強ばっかしてないで百合達とも遊べよ」

「お生憎様」


碧依そう言って、べーっと舌を出して帰っていった。

やっぱり俺は今の関係のままでいいや。

無理に行動に移さなくたって、いつか碧依に想いが伝わる。

俺はそう思っていた。

とにかく今の関係を崩すのが怖かった。