「悟っ‥‥待ってよっ‥‥ごめんなさい‥悟っ‥」


後ろから、必死に謝る若歌の声が聞こえた。だけど俺は振り向かなかった。
若歌のためにも、振り返るべきじゃないと思ったから。


「悟‥?」


つらそうな顔をする俺に、碧依が静かに声をかけた。
俺はこらえていた涙を流した。
友達として、本当に大好きだった若歌。
ずっと若歌とバカやって、笑っていたかった。

だけど、碧依を傷付けた若歌とは、一緒にいられない。俺にとって碧依は、命よりも大切で、かけがえのない存在だ。
たとえ若歌でも、許すことはできなかった。