待ち合わせたはいいが、ここではあまりにも人目に付き過ぎるので、人が入っていない純喫茶に場所を移した。


「いや~、スターも楽じゃないですね」


「気を遣わせちゃってごめんなさい」


「いや、いいんですよ。それより今日は僕に話ってなんですか?」


「はい。香奈子のことなんです」


「かなぷーがどうかしたんですか?」


「銀波さんもご存知だと思うけど、あの子、ファンからPooh!の次期エースって言われてるでしょ」


「ええ、石川さんの後を継ぐのは間違いなくかなぷーだと思います」


「私もそう思ってるんです。あの子は私にないものを持ってるし。Pooh!だけじゃなく、ウチの事務所を背負って立つ存在になるって」


「はい。おっしゃると通りかと」


「今ウチの事務所、経営がうまくいってなくて」


「ええ、ホントですか?あんなに売れてるのに」


「私達のデビューの時に先行投資しすぎたみたいで、ずっと火の車なんです。いつ倒れてもおかしくないくらいの」


「そんな・・・」


「だから今香奈子に何かあると困るんです」