「一緒に行こう!」


差し出された教科書を受け取ると私はまた俯いてしまった。


「あ、亜優美!?どうしたのっ、具合悪い?」


熱い何かが込み上げてくる。


「ううん…大丈夫」



目から透明な水が流れ出しそうなのを堪えながら顔を上げて、


精一杯笑って、言った。




「ありがとう」




そのまま、両手に確かな重みを感じながら職員室に向かって歩き始めた。