幸せの残量─世界と君を天秤に─



「あの、さ」


「なあに?」


そ、そんな笑顔を向けられると言いにくい……。


言いにくい、けど


真っ直ぐ見つめて言い放った。



「私、全て出来ないわけじゃないの」


「え?」


「それくらいなら持っていける。だから、気持ちは嬉しいけど、同情なら……


同情なら、それ、私が持っていく。

迷惑はかけたくないし。

何より、イヤ…なの。


…何も出来ない自分が」



あの子の目を見つめて、言った。