「というか、巧さん。私を窒息死させるつもりですか」


「別に」


「だったら鼻なんて摘ままないで下さい」


「もう五月蝿いから黙れ」


そう言って顔を近付けてくるもんだから、思わず目を瞑った。


次に来るだろう温もりを待っていても、一向にやってこない。


そっと目を開けると、巧さんは既に私の上から降りてクスクスと笑いながらキッチンへ向かっていた。


「ほら、早く手を洗ってこい」


「………」


……このドSが。



私は何だかとてつもなく悔しかったので、平然を装いつつ洗面所へ向かった。

巧さんの笑いがとまらなかったので、きっと成功はしてなかったけれど。