幸せの残量─世界と君を天秤に─



握った手をそっと放して

手の甲から、その大きな手で包みこんでくれた。


「たくみ…さん……」

「落ち着け。大丈夫だから」


「……っ…」

「大丈夫だ」


怖くなった。

怖くなったの。


これを見たら、このリングを買って貰ったら。

きっと私は嬉しくなって、幸せだと思うんだろう。


指にはめられたそれを見る度に。


そんなの、きっと耐えられない。


何度だって考えてしまう。それを見る度考えてしまう。


儚い指輪をはめたその手が、いつか幸せを壊してしまうことを。



「巧さん…わ、私…っ」

「…ああ」


まるで全て分かっているかのように。それを受け止めてくれるかのように。

目の前の貴方はとても綺麗に微笑んだ。