幸せの残量─世界と君を天秤に─



「あ、……」


「どうした」


「あれ、あそこ行きましょう!」


「ちょ……何いきなりテンション上げてるんだっ…、分かったから落ち着け」


巧さんの横から前に出て、手をひく。


「巧さんの奢りかー。服、服欲しいです」


「……いつ奢りだと言った」


「いーじゃないですか。退院祝いでしょう?」


「……。仕方ないな」


本当は、服なんて……いや、欲しいけど。でも、それが大切なんじゃなくて。



「これ、どうですか?」


「……丈が短すぎる」


この時間が。

きっと、楽しいのだろうと。


「じゃあ、これは?」


「……まあ、許容範囲か」


そう。きっと。絶対。


「次、あっち行きましょう!」


「はいはい」



手はずっと、繋がれたまま。