そして、ここはやっぱりいつもの病院。


目線を少し右に向けて、


「ちょ、不良君っ!もうちょっと右にずれて!!」


マッハで目を閉じた。


「あ?何で」


「いいから!」


「…まあ、いいけど」


見えたものは、私の天敵である。


点滴だ。

いや、駄洒落とかじゃなくて。


「あー…つら」


「…大丈夫か?」


「へ?…ああ、いや、大丈夫」


点滴が嫌いなだけだったんだけど勘違いされた。


でも何か、心配そうに歪んだ顔とか。

心なしか細い声とか。


……意外と優しいのかも。


「…あのさ」


「んー?」


「なんか、………あり、がと」


……は?

「いや、何で君がお礼言うの?それは私の台詞でしょ?」


「べ、別に……言いたかっただけだし…」


あれ?何だろ、尻尾が見える。