幸せの残量─世界と君を天秤に─



「私はっ、ずっと巧さんの側にいますっ」


「っ、」


何の確証もない言葉。

けれど、私にとっては重く、大切な言葉。


こんなにも寂しい人を独りにするなんて出来る筈もない。


同情なんかじゃなくて、


そこには確かな愛情がある。



「好きです……っ!」


抱き着いたまま、そう言うと、巧さんはフッと笑った。


「なんだ、いきなり」


「いきなりじゃないですもん。ずっと好きですもん」


「……ばーか」


そう言いながらも巧さんは私の頭を撫でた。


「…前、花奈に会いたいって言ったの覚えてるか?」


柔らかい声に顔を上げると、巧さんは悲しそうに、けれど優しそうに微笑んでいた。


「はい…!一年経ってようやく会えましたね」