幸せの残量─世界と君を天秤に─



「昨日あたしん家来るって言ったじゃない」


「…………ああ!」


そういえば言った。


「あれだけ言ったのに忘れるなんてね」


「いや、…忘れてなんてイナイヨ」


「だから演技下手くそかっ」


演技力って必要なんだね。初めて知ったよ。


「まあ、何でもいいけど。で、どうすんの?」


「じゃあ直行で」


「だよね」


……。

そんな即答するなら聞かなきゃいいのにとか思ったけど口には出さない。


そこまで馬鹿じゃないからね。


「じゃあ放課後ね」


「はいはーい」


そう言って自分の席に戻って行った柿崎にヒラヒラと手を振る。



ああ、やっぱり柿崎は凄いよ。


約束一つで少しだけ心が軽くなった。


本当は巧さんのことが気になって仕方なかったけど。


私は自分の心に気付かないフリをした。