幸せの残量─世界と君を天秤に─



あんな言い方しなくてもいいのに、なんて。


そう思ってしまうのは仕方がないこと?



……違う。


そうじゃなくて。

そうじゃなくて、


ただ、踏み込んではいけない領域だったんだ。



心にポッカリ空いた穴。


悲しい?

いや、寂しい。


…ああ、それも違う。


これは只の罪悪感。


勝手に踏み込んでしまったことへの罪悪感。



そんなことを考えてる内に時計の針はてっぺんを回っていた。


「本当に帰ってこないつもりかな」



この時はまだ知らない。


この言葉が本当になろうとは。

巧さんに会わぬまま朝を迎えるとは。


「……泊まらないつもりだったのに」