幸せの残量─世界と君を天秤に─



――カチャ


「あれ…開いてない」


今日は早く帰ってくるって言ってたから、てっきり帰ってきてるかと思ったのに。


合鍵を使って中に入ると、当然の如く電気は点いてなくて。


ちょっとホッとしたような、寂しいような。


どちらにせよ、気のせいだろうか。心臓の鼓動がいつもより速い。



柔らかい茶色のソファーにぼすんっと倒れこんだ。


「…………うん」


深く深呼吸すると、巧さんの匂いがしたとかね。うん、思っちゃったけどね。仕方ないよね。

……うん。


安心する匂い。

なのに。その筈なのに、


どうしてこんなに不安なの?