幸せの残量─世界と君を天秤に─




「んしょ……巧さーん。頭上げますよー」


タオルを巻いた氷枕を巧さんの枕と取り替えた。


一応声はかけたものの、巧さんが起きる気配はない。

大丈夫ですか、巧さん……。


再びベッドに戻り、巧さんの隣に入る。


じんわりと額に汗をかいている様子は、熱の高さを主張するようで。

そっと汗を拭いた。



これじゃあ、いつもと立場が逆じゃないですか。


私が誰かの看病をするなんて、

……初めてなんですよ。


ねぇ、巧さん。風邪ってひく方も、看病する方も、どっちも辛いんですね。


こんなの、今まで知らなかった。


「いつだって巧さんは私に新しいことを教えてくれるんですよ」


貴方は知らないでしょうけど。




「巧さん……熱、早く下がってくださいね」


私は小声でそう呟くと、巧さんの前髪をそっと掻き上げて額に、キスをした。


「…おやすみなさい」


目を閉じて、軽く擦り寄ると巧さんがそっと抱き締めてくれたような気がした。