幸せの残量─世界と君を天秤に─



さっきまではお粥を作っていたはずなのに。


秘かに初めての手料理だなとか思っていたのに…!

……いや、やっぱ今の無しで。


巧さんのキスの雨が止まらないせいで、若干乙女ちっくになっている思考を頭の隅に追いやりながら、今の状況の打開策を練る。


依然として巧さんはキスを止めない。


「…あゆみ」

「ん……っ」


………。

危ない。甘い雰囲気にうっかり流されてしまいそうになるなんて。


「っ巧さん。もう寝ないと!ホントに風邪が治らないですよ」


「うん…」


「え……」


今、巧さん、うんって言った…?

か、わいー…。


「…じゃなくて、寝てください。私はここにいますから」

正確には抜けれませんから。


「ほ、んと……?」


「ええ」


「……ん」


安心したのか、巧さんはそう声を漏らし、最後に軽く私の頬に唇を押し付け、腕の力を抜いた。


「……寝た?」

すー…


聴こえてくるのは静かな寝息。

……やっぱり無理してたんですね。