「あ、航くん来た!」
玄関のチャイムの音に
嬉しそうに反応して、
優凪は急いだように
「行ってきます」
と言って出ていった。
「はい、行ってらっしゃい」
と穏やかな顔で言った母は
くるっと私の方を向いた。
「遥妃はいつ行くの?」
時計を見ると7時45分。
もう遅刻ぎりぎりだ。
それ以前に、
地元の中学校に通う優凪より
隣の市の高校に通う私の方が
家を出るのが遅いと言うことがおかしい。
「もう行くよっ」
笑顔でごまかして、
急いで準備をした。
家を出たときには
もう8時直前。
ほぼ遅刻決定だ。
爽やかに彼氏と登校する優凪と
騒がしく汗を光らせつつ登校する私。
なんで姉妹なのに
こうも違いがあるのか。
……謎だ。


