部屋のドアを開けると
ウインナーの焼ける
香ばしい匂いがした。



ダイニングに入ると
もう、しっかりと
制服を着ている
妹がいる。


「遥妃、おはよう」


優凪がケータイを
いじりながら挨拶をしてくる。


私のことを遥妃(ハルキ)と
呼び捨てにする優凪。

でも、17年も経った今
「お姉ちゃん」なんて
呼ばれるほうが
なんだか気持ち悪い。



「今日も早いね」

「だって、航くんが来るもん」


彼氏だ。

航くんこと航太くんと
優凪はお付き合い中で
毎日一緒に登校している。

2人とも中3なのに生意気だ。

私は高2になった今も
そんな話はない。


恥ずかしいけど、
彼氏がいたことがない。



友達は決まって

「遥妃に彼氏なんて早い」
「遥妃は汚れないでね」

なんて訳のわからない
ことを言う。


友達にそんな扱いを
されるほど、私は
見た目も中身も
幼いらしい。