いちいち暗くなりそうな面倒臭いあたしの気分を、

TKOの演奏はことごとく吹き飛ばしてくれた。

楽しい。

もっと見たい。

そう思った。





気が付くと、ライブは終わり、フロアの照明がついていた。

やばい…

お客さんの声に応えて、三人がまたステージに出てきて、あいさつをしている。


あたしはこっそりとライブハウスを出た。



汗ばんだ状態で外にいると、少し冷える。

体と同時に、頭も冷えてきて、ライブ中凹んだりしたことを思い出した。



やだなぁあたしのこういうところ。



せっかく、楽しかったのになぁ。



あたしは落ち込みそうな自分を励ました。

司くん、かっこよかったな。

家で待ってたら、帰ってきてくれる。

たまにはあたしが何か…おつまみでも作ってみようかな。

あたしは小雪に、先に帰る、今度ゆっくりお喋りしよう!とメールしたら、

「コウジが司クンの話すっごく楽しみにしてるんだけど。明日の夜はオッケー?」

とすぐに返信が来た。

「うん、オッケー!楽しみにしてて!じゃ、今日ごめんね!」

メールを打ちながら、あたしは開き直ろうとした。



せっかくだから、楽しもう。

司くんが家にいる間、この久しぶりの片思いを。

お別れしたら、堂々とライブに行ったりしよう。



司くんが音楽をしてる限り、あたしは司くんを見失わなくていい。



いっぱい応援できるから、悲しくない、寂しくない。



この時は本気で、そう思っていた。