「それにしても!」

司くんはプリプリしはじめた。

ああ、雷雲が見えてきた…ような気がする。

「あんなにでろんでろんになるまで酔っぱらって!サツキさん大人の女性なんだから、もっと慎みなさいよ!」

雷落とされた。

「だって…ストレス溜まってるし…」

「ストレスねえ。ホストに行けばすっきりするわけ?」

うーん。

「少しは…」

「あんなになるまで飲んで、少しぃ?バカじゃないの!?」

うう〜、そこまで言わなくても。

「何してるわけホストクラブで!」

「何って…お酒飲んで。酔っぱらって、絡んで。愚痴って」

「…そんだけ?」

「それだけだよ。あたしはね」

もっと違った遊び方をする人の方が多いけどね。

色恋とかそういうのは、あたしは興味ありません。

司くんはきょとんとしている。

「ああいうとこって、そのう。愛してるよとか愛してないよとか、囁いたりするとこじゃないの?」

プッ。

愛してないよって何なのよ?

「する人はするけど、あたしはそんなの興味ないし!っていうか司くん!ボケボケにもほどがあるよ、おもしろすぎ」

「ボケって…」

司くんは少しムッとしていたけど、しばらく何か考え込んでしまった。

…もうそろそろ、そうめん食べるの再開しない?

と提案しようとしたら、司くんが妙な提案をしてきて、あたしはびっくりした。

「じゃあ俺でいいじゃん」

「……はい?」

「俺、歯の浮くような台詞なんて言えないけど、愚痴って絡むくらいだったら、俺が相手でもできるじゃん」

何を言って…

「そーだ、それがいいよ。そうしなよ」

司くんはニコニコとそうめんをすすりはじめた。

「サツキさん。お酒は何が好き?」

「え…ワイン…」

「わーかった。じゃあ、買ってきとくからね」

司くん…ええ?

司くんはそうめんを指さして言った。

「早く食べなよ、俺の気遣い」

「あ、はい、いただきます…」