「俺、風俗って初めてだから、いろいろ聞かせてよ」

この手のお客さんは、リピートはないな…

そう思って、この時間は楽しんでもらおうと、

あたしの知ってる限りの風俗遊びの知識や、

働く側の気持ち、スマートなお客さんそうでないお客さんなど、

かなりのぶっちゃけトークをした。

「サツキちゃん、美人で大人しそうなのに毒舌だね。面白い、気に入った!」

それ以来鶴田さんは、月に1度の割合で顔を出してくれるようになった。

鶴田さんはあたしより3つ年上の28歳。

音楽に詳しくて、いろんな話を聞かせてくれたり、

奥さんとののろけ話や学生時代の失敗談とかで、

いつもあたしを笑わせてくれる。

面白い人だ。

鶴田さんはサングラスを外して机の上に置き、しげしげとあたしの顔を覗き込み、

「本当に大丈夫?顔真っ白だぞ。まああれだな、二日酔いのサツキちゃんも美人だな」

と鼻をつまみながら言った。

あたしはウーロン茶を用意して、鶴田さんの隣に腰掛けた。

「もうっ。そんなに酒臭い?」

「うん。さっきまで飲んでたんじゃないのってくらい臭い」

あたしは手で口を覆い、ハーっとしてみたが、自分ではわからない。

確かに、さっきまで飲んでいたようなものだし。

「何?もしかしてホストとか行っちゃうのサツキちゃん。朝まで飲んでたとか」

「たまにはね」

鶴田さんはウーロン茶を吹きそうな勢いで驚いた。

「マジで!?うそ!冗談だったのに!」

「ホント。ストレスが溜まって我慢できなくなった時に発散しに行く感じ」

「ホストって高いんだろ?すげーな、稼いでる人は違うな」

鶴田さんはしげしげとあたしの顔を眺め、さらに聞いてきた。

「ちなみに、どんくらい使っちゃったの昨日は」

あたしは指を2本立てた。

「にまん?」

「んーん。にじゅうまん」

うへええええ!鶴田さんは大袈裟にのけぞった。