頭、痛ぇ…。

俺はケータイのアラームを止めた。

8時。

うーん。

昨日、何時に帰ってきたっけ…ま、いいや。

朝ご飯、作ろう。

俺は頭をボリボリ掻きながら、部屋を出た。

「ぅおっ!」

リビングのソファーで、サツキさんがぼーっと座っていた。

「サツキさん?おはよう。今日は早起きだね?」

サツキさんは緩慢な動作でこっちを向いた。

「…おはよう」

こわっ!すっげークマ!

眠れなかったのかな?

あ…

「ごめん、もしかして夜中俺、変な時間にうるさかったとか?」

「…夜中」

「何時に帰ってきたとか覚えてないけど…俺のせいで眠れなかった?」

「記憶、ないんだ」

「うん。昨日、久々に飲み過ぎちゃった」

軽くフツカヨイ。

「そうなんだ。別に、うるさくなかったよ」

サツキさんはぼんやりと俺から視線を外した。

どうしたんだろう?

何か、あった?

とりあえず、ご飯食べたら元気になるかな。

「朝ご飯。焼き鮭でいい?」

「今日…いらない」

え?

「寝るから」

ちょっと。

「サツキさん、今日仕事は?」

「休む」

そう言うと部屋に入っていってしまった。

どうしたの?サツキさん。

具合でも悪いのかな。

まあ、俺今日は一日家にいるから、安心して寝てるといいよ。




俺は部屋で、ギターを弾いていた。

サツキさんが寝込んでるから、アンプにヘッドホンをさしてこっそりとね。

夕方頃になって、部屋のドアが開いた。

「司くん」

起きたら声かけてください、と書いたテーブルの上のメモを見たんだろう、サツキさんが顔を出した。

「サツキさん、どう具合は。おなかすいた?何食べる?」

「カルボナーラ食べたい」

「はいはーい」

っと。

そういえば、パスタ今切らしてたんだった。

「買い物に行ってからになるけど。いい?」

サツキさんはコクコクとうなずいている。

あ、そうだ。

前から言おうと思ってたんだけど。