あれ以来特に変わったことといえば、あたしが仕事に行く時は、司くんが絶対部屋から出てこなくなったことくらい。
やっぱり嫌なのかなと思うと、少し嬉しい。
おかしいかな?
本当に今まで通りすぎるから、ヤキモチやいてるのかなぁ司くん可愛い。と勝手に思ってるだけだけど。
あと。
司くんは最近、バイトにばかり行っている。
今日も、あたしが仕事から帰ってきたらテーブルにごはんが用意してあった。
バイトじゃない日は一緒に食べるから、美味しそうな料理が並んでても、司くんがいないんだと思うとちょっと寂しい。
前、ライブはないの?と聞いたら、少し曇った顔をして、
「なんか、大人の事情でいろいろ停滞中」
と言っていた。
その後、
「決まったらすぐ教える!ご招待しちゃうから待っててね!」
と無理矢理笑顔を作ってたから、あまり聞かないことにした。
司くんの辛い顔は嫌だけど、作り笑いはもっと嫌だ。
何かあたしにできることは、ないのかな。
あ、そういえば、
司くん、もうすぐお誕生日だ。
何かプレゼントしたいなぁと思うけど、うかつなものあげたら怒られそうだし…。
家政夫くん、一月に食費もろもろで三万しか渡してないのに豪華なごはん作ってくれるし、
「余った。俺天才」
とか言って月の終わりに返金してくるし。
司くんの食費や生活費の徹底ぶりを見てると、あんまり無駄遣いしちゃダメだなとつくづく思う。
どうせなら、ちゃんと司くんが欲しいものあげたいんだけど、わかんないし…。
あたしは司くんが作っておいてくれた「寝る前に食べても大丈夫!ヘルシー【超豆腐ハンバーグ】」をいただきながら考えた。
とりあえずケーキでお祝い?
どこのがおいしいんだろ…
一緒に住んでる好きな人の欲しいものがわからないとか
おいしいケーキ屋さんを知らないとか
自分の無知さが嫌になったけど、そういうの考えるの楽しいんだなあなんて、ちょっと女の子みたいな気分になった。


