ももいろ

サツキさんは呆けてる。

驚いたのかもしれないけどもうちょっと他に、顔、ないの?

「司くん?」

「はい」

「司くん?」

「なぁに」

「司くん?」

「呼びすぎ」

なんなの。

あ、もしかして?

「なんてお返事しようかしらとか思ってる?」

「うん」

「イリマセン」

俺別にどうこうしようとか思ってない。

気付いたから、認めて、口に出しただけ。

「イリマセンの?」

「うん。今までと何も変わらないから」

「…そうだね、司くん困っちゃうもんね」

サツキさんはショボンとした。

そうよ?俺困っちゃう。

…は?

「いや、困るじゃなくて凹むだから」

司くんに興味ないのなんていちいち言ってくれなくても知ってるけど、面と向かって言われたら凹むよ。

「なんで凹むなの?」

はぁ!?

「サツキさんバカ?」

サツキさんはムッとした。

「バカは司くんでしょ?さっき自分で困るって言ったのに」

「…言ったっけ?」

「言った」

…?

まあいいや。

「とにかくそういうことだから、おとなしく世話焼かれてください」

「…はい」

うん、よし。

サツキさんは何か言いたげだけど、俺は知らん顔した。

「おいしいごはん作ってあげるし、飲みたいときはつきあう」

「…うん」

「少しずつでいいから、元気になって?メンドクサイなんて言わないで」

「うん」

サツキさんは俺にじりじり近づいてきた。

「ねえ、司くん」

「…何」

「バンドのことも、教えてくれる?」

お?

「うん!もちろん」

「やった」

そう言ってサツキさんは、俺にしがみついた。

ちょっと何考えてんの!

懐いてくれるのは嬉しいけど、これは心臓に悪い!

「ワンマン、かっこよかった。いつも練習してたピロピロ、上手にできてよかったね」

「…!ぅえっ!?な…」

「なんでって?見にいったもん。鈍感な司くんは困っちゃえばいい」

…困る…思い出した!

サツキさんはますます俺にしがみついて、言った。



「司くん、好き」