そういえば、サツキさんってそうだったね。
俺じゃないのか…ま、そんなんでじんましん出ないよねアホか俺は。
慌てすぎ。
安心しかけたけど、これはひどい。
「触っちゃダメだよ!余計かゆくなるから。こんなになるなら、猫に近づいたらダメでしょ?」
顔変形してるよ?
俺じゃない男が見たら引くんじゃないの?
「うるさい」
「ハイハイ」
かゆくてイライラしてるから俺にあたってるんだね?
理由がわかれば凹まないよ。
「タオル冷やしてくるから、寝てなさい」
「…構わないでよ」
「ハイハイ」
俺は氷水を洗面器に入れ、タオルをひたしながら考えた。
サツキさん、あんなにひどい状態になっちゃったら、当分仕事行けないんじゃない?
…。
治らなくていいやとか考えてませんよ俺は。
「入りまーす」
サツキさんはちゃんとベッドで横になっているけど、
「誰が入っていいって言った?」
なんて返事をした。
「ハイハイ。こっち向いてね。冷やしてあげるから」
俺はサツキさんの顔に絞ったタオルを乗せてあげると、サツキさんはぐすんぐすん言い始めた。
「あ、ごめん!しみた!?」
慌ててタオルをどかしたら、タオルに少し血が着いてる。
「こんなになるまでかいて。女の人が顔に傷作ったらダメじゃん」
首も手も赤いから、全身に出てるみたい、つらそう。
…治らなくていいなんて思ってごめんね?
「今度から猫見たら逃げなさいよ」
傷に触らないようにサツキさんの顔にタオルをあてた。
「なんでよ」
なんでって。
「こんなにひどいことになるなら…」
「違う」
サツキさんは細くなった目から涙をこぼしながら俺を見た。
泣いてるサツキさんに睨まれてるみたいな気持ちになるけど、違うよね?
じんましんがつらいんだよね?
俺何も悪いことしてないし…バレてないなら。
「なんであたしに構うのよ」
はぁ…。
なんで今日も、サツキさんは俺にからんでくるんだ?


